


大切な方が亡くなり、ばたばたとお葬式等を済ませ、いざ遺言書を確認してみると、
『全財産はお世話になった隣人の○○さんに遺贈する』
この文言を読み、
「お父さんの遺志だから仕方ない」と思う人もいれば、
この遺言書に納得できない相続人もいることでしょう。
有効な遺言書に従って遺産を分けることが原則ですが、もしかしたら遺留分侵害額請求をすれば、最低限の遺産の取り分を取り返せるかもしれません。
納得できない遺産の行方、誰がどのくらい取り返せるのでしょうか?
今回は、
・誰がどのくらい遺留分を持っているのか
・遺留分の請求の仕方と注意点
について解説します。
遺留分を理解するには、まず法定相続人の仕組みを知る必要があります。
まだ読んでいない方は、先にコチラのコラムをご覧いただくと理解が深まります。
遺留分とは、
民法で保障している相続人のための最低限の遺産の取り分のことです。
遺留分が認められるのは、一部の法定相続人のみです。
法定相続人は3つのケースに分けられるため、今回もケースごとに見ていきましょう。
例 配偶者(B)+子ども3人(C・D・E)
下の図は、法定相続分を表しています。
遺留分は、この法定相続分の半分です。
配偶者B:4分の1
子どもC:12分の1
子どもD:12分の1
子どもE:12分の1
(合計 2分の1)
*配偶者がいない(未婚・離婚・死別等)場合
子どもC:6分の1
子どもD:6分の1
子どもE:6分の1
(合計 2分の1)
ケース1の場合、
・全体の遺留分は2分の1
・その2分の1を、法定相続分に応じて分ける
下の図は、法定相続分を表しています。
遺留分はこれの半分です。
配偶者B:3分の1
親P :12分の1
親Q :12分の1
(合計は 2分の1)
*配偶者がいない(未婚・離婚・死別等)場合
親P:6分の1
親Q:6分の1
(合計は 3分の1)
ケース2の場合、
・全体の遺留分は配偶者がいるかいないかで変わってくる
配偶者 有:2分の1
配偶者 無:3分の1
・全体の遺留分を、法定相続分に応じて分ける
下の図は、法定相続分を表しています。
遺留分は、
配偶者B :2分の1
兄弟姉妹X :無
兄弟姉妹Y :無
兄弟姉妹Z :無
図からもわかるように、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
そのため、有効な遺言書がある場合、内容に不満があっても遺留分を理由に請求することはできません。
ケース3の場合
・兄弟姉妹には遺留分は認められていない。
・配偶者の遺留分は2分の1
遺留分があるということは、
『遺留分侵害額請求権』という権利を持っているということです。
権利を自ら行使しなければ何も起こりません。
『遺留分侵害額請求権』とは、
「最低限保証されている遺産の取り分を、金銭で払ってください」と相手に請求する権利
です。
請求して、相手が支払えば解決ですが、支払わない場合は
・家庭裁判所で調停
・それでも解決しなければ訴訟
という流れになります。
調停・訴訟まで進むと弁護士費用等一定の負担が発生します。
遺留分は請求できる期限が決まっています。
・遺留分の侵害を知った時から1年
または
・相続開始(通常は死亡日)から10年
この期間を過ぎると、請求する権利が消滅します。
・配偶者、子ども、親または祖父母には遺留分がある
・兄弟姉妹には遺留分が認められていない
・遺留分を侵害する遺言書があると、争いに発展する可能性がある
・遺言書を作成する際は、遺留分を考慮することが大切
有効な遺言書があれば、原則その内容に従って遺産は分けられます。
しかし、遺留分を無視した内容だと、そこから“争族”に発展することもあります。
遺された家族が故人の意を汲んで遺留分の請求をしないケースももちろんありますが、遺言書を書くのであれば、遺留分まで考慮して作成するのが最も安心です。
遺言書の作成でお困りのことがあれば、ぜひご相談ください。
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