


2026年5月、日経平均株価が過去最高の6万円を超えました。
日経平均株価とは、日本経済新聞社が選んだ225社の株価の平均です。
厳密にいうと平均ではありませんが、ここでは平均とします
日経平均株価が何を表しているかというと、日本経済の元気さです。
アメリカ経済はS&P500、ドイツ経済はDAXなど、世界にはそれぞれ「その国の経済の元気さ」を示す指標があります。
つまり、今の日本経済はとても元気だということです。
日本経済が元気になってきたのは、2022年・2023年あたりからです。
理由はいくつもありますが、その中でも大きかったのが、
海外の投資家が、日本の株を買い始めたこと
です。
下のグラフは、海外投資家が日本株を買った金額の推移です。
2022年あたりから、増加傾向にあるのが読み取れます。
2026年に入ってからは、2025年の1.5倍近くの金額であることが分かります。
今回は、なぜ海外投資家が日本に注目し始めたのかを、イメージしやすい例え話で見ていきましょう。
このコラムでは、全体像をつかんでもらうのが目的であるため、細部についてやや脚色しすぎているところもあります。その点についてはご了承ください。
あなたは、街にある3つの商店街に食材を卸す仕事をしています。
売上の一部を“分け前”として受け取る、いわば共同オーナーのような立場です。
実はこの3つの商店街は、世界の市場をイメージしています。
A商店街の店長たちは明るく、未来の計画をしっかり話してくれます。
•「今年は売上を倍にしたい」
•「新しい食材を仕入れて、新メニューを増やすよ」
実際に店はいつも満席で、売上も伸びています。 あなたの分け前も増え、安心して食材を卸し続けられます。
最近できたC商店街の店長たちは熱意にあふれています。
・「新メニューを試作中です」
・「来月には従業員を増やしたいんです」
まだ失敗もありますが、「この商店街はこれから伸びるかもしれない」と期待が持てます。
問題はB商店街です。
店長たちはほとんど何も教えてくれません。
•売上の計画
•新メニューの構想
•今後の方針
どれも不明
それなのに冷蔵庫には食材がぎっしり。珍しい食材もあるのに、いつも同じメニューしか出しません。しかも値段はずっと低いまま。
一見「安いならいいじゃん」と思うかもしれませんが、あなたは共同オーナーです。料理の値段が低いままだと、売上は伸びず、あなたの分け前も増えません。
あなたは不安になります。
•「こんなに食材があるのに、どうして使わないの」
•「冷蔵庫の中身の価値より、売上が低いっておかしくない」
•「計画があるなら教えてほしい」
A商店街は計画を語り、挑戦し、売上を伸ばしている。
C商店街は未来への期待がある。
しかしB商店街の店舗は、
•食材をため込むだけ
•新しい料理を作らない
•値段も上げない
•計画も語らない
•売上も伸びない
このままでは、あなたが卸した食材は宝の持ち腐れになってしまいます。
さて、あなたならどうしますか。
このままB商店街に食材を卸し続けるでしょうか。
あなたは何度もB商店街の会長に苦言を呈します。
しかし改善されなければ、いずれ食材を卸すのをやめるでしょう。
ここで焦ったのがB商店街のB会長です。
そこで会長は各店舗にこう言いました。
•冷蔵庫の食材を活かすこと
•売上を伸ばす努力をすること
•卸してくれる人(投資家)にきちんと説明すること
•できない店は商店街から退場してもらう
これが、実際の世界でいう東京証券取引所(東証)の改革にあたります。
実際の東証改革では、降格はあっても、退場(上場廃止)はありません。

B商店街の店は努力を始めました。
•新メニューの開発(=新規事業・投資)
•適正な価格に戻す(=価格転嫁)
•経営計画を公開する(=情報開示)
すると、あなたの同業者(=海外投資家)が言い始めます。
「B商店街、最近変わってきたよね」
「もともと食材も技術もあるし、これから伸びるかも」
こうして、B商店街に再び食材(=投資資金)が集まり始めたのです。
長い間、日本企業は株主への説明や利益の還元が弱いと言われてきました。
つまり、株主(物語でいうところの食材を卸してくれる人)をないがしろにしているように思われていました。
しかし東証が改革に踏み切ったことで、企業は少しずつ変わり始めています。
その変化を見た海外投資家が日本に注目するようになってきました。
これが、日本株価上昇の大きな一因です。
・海外投資家からの投資額の増加が、日本株上昇の一因
・日本企業は、株主を大切にする姿勢に変わりつつある
・改革が進むほど、日本企業の魅力はさらに高まる可能性がある
もちろん、株価が上がった理由はこれだけではありません。 円安、世界経済の動き、原材料高など、さまざまな要因が重なっています。
でも、「日本企業が変わり始めた」という事実は、今の日本経済を語るうえで欠かせないポイントです。
今回のコラムはイメージをつかむためのものです。
興味を持ったら、ぜひ「東証改革」「PBR改善」「海外投資家の買い越し」なども調べてみてください。
視野が広がるほど、経済の見え方が変わっていきます。