外国為替 その2『外国為替レートはどう決まるのか』

外国為替 その2『外国為替レートはどう決まるのか』

外国為替 その2『外国為替レートはどう決まるのか』

前回は、外国為替とは何かについて学びました。
通貨同士の相対的な価値は常に変化しており、その変化を『円安』『円高』と呼びました。
今回は、その通貨の価値がなぜ変化するのかを見ていきましょう。


序章  お金の価値とは
その1 外国為替とは何か
その2 外国為替レートはどう決まるのか
その3 私たちの生活にどのように影響するのか



外国為替レートを動かす人たち

外国為替レート(=外国為替相場)とは、
違う通貨同士の交換比率のこと
(例:1ドルが日本円でいくらなのか)

でした。


そしてこの交換比率とは、通貨の価値の上下によって決まります。


この交換比率は、
その通貨をほしい人が多いか少ないかで決まります。

・ほしい人が増える → 価値が上がる(A高)
・ほしい人が減る  → 価値が下がる(A安)

では、その“通貨をほしい人”とは誰でしょうか。



大きく分けて“実需”と“投機”の2つです。
ここではイメージしやすいように“実需”と“実益”と呼びます。


通貨をほしい人実需

実需とは、必要に迫られて通貨を交換する人たちのことです。
海外旅行や輸出入が代表例です。


例1 アメリカからモノを買う

「取引はドルでおこないますよ」と言われたら、円をドルに換えて、モノを買うことになります。


例2 会社がアメリカでモノを売る

取引がドルでおこなわれるなら、支払われるお金はドルになります。
その受け取り代金から、日本で働く従業員に給料を払う場合、「今月の給料の支払いは円じゃなくてドルでいいかな?」なんてことにはあまりなりません。



このように、現在の外国為替レートがどうであっても交換せざるを得ない人たちが“実需”です。



通貨をほしい人実益(投機)

“実益”とは、通貨の交換を使って、利益を狙う人たちのことです。
最近、元オリンピアンがSNSで発信しているFXは、まさにこれのことです。


“実益”が狙う利益は主に2つ。

金利差

銀行の普通預金にお金をいれているだけでもらえるお金を利子といいます。
利子は、預金金額の〇%というように、割合で決められています。この割合を『金利』といいます。
金利が高い国でお金を銀行に預けていれば、それだけで儲かることになります。


例(例なので実際の金利とは異なります)
100万円を銀行に預けたら
日本  :金利 2% ⇒利子2万円
アメリカ:金利 5% ⇒利子5万円


日本で銀行に預けるより、アメリカで銀行に預けた方が3万円も得をします。
そのため、金利が高い国は“実益”にとって魅力的です。
しかし、税制や自国通貨に替えるときの外国為替レートなど、考えるべき点は多くあります。


外国為替レート差

例(例なので実際のレートとは異なります)
4月1日  1ドル=100円
4月10日 1ドル=120円
4月30日 1ドル=80円


4月1日に100万円を1万ドルに換える

4月10日に1万ドルを円に換える
     1万ドル=120万円


外国為替レートの上下の動きを利用し、円→ドル→円と換えるだけで20万円得することができました。
しかし、一方で4月10日にドルから円に換えず、30日に換えることになってしまったら、
1ドル =80円
1万ドル=80万円
と、20万円損をすることになってしまいます。


円安が予想されるときは円→ドル→円、円高が予想されるときはドル→円→ドルで儲けることができるのです。
このように、外国為替レート差を利用すると、レートの動き方によっては大きな儲けを出すこともできます。その一方で損も大きくなりやすいことを覚えておく必要があります。



通貨の価値と金利

“実需”と“実益”の2つの思惑が渦巻きあい、外国為替レートは常に動き続けています。
ただし、“実需”の取引は全体の1~2割程度で、8~9割は“実益”(投機)とされているので、外国為替レートの動きに大きな影響を与えているのは“実益”です。


では、“実益”にとって魅力的、と紹介した金利が高い国の通貨は必ず価値が高いのでしょうか?






答えは否です。
外国為替の奥深いところは、金利の高さと通貨価値の高さは必ずしもイコールでは結ばれないというところです。



こぶたのレースと外国為替

千葉県のマザー牧場で行われているこぶたのレースをご存じでしょうか?
こぶた達が、障害物を避けながらゴールを目指し、観客が1位を予想するゲームです。
ゲームでは、こぶたはなかなかゴールまでたどり着かないので、追いかける役として会場から子どもたちが選出され、各こぶたに1人ずつつきます。


このゲーム、何回か参加しましたが、1位をあてるのはとてつもなく難しいです。


こぶたの50M走のタイム(正確に測れるとは思いませんが)を教えてくれたとしても、そのタイム順のゴールとはいかないでしょう。
こぶたちゃんたちのなんとマイペースなことか。
こぶたたちの性格や体調、天気、相棒となった子どもとの相性など、さまざまな要素がからみあい、結果につながります。おそらく、これらを完璧に分析することができても、百発百中で1位をあてることは難しいでしょう。


なぜいきなりこんな話を始めたかというと、外国為替はこれに似た性質をもっているからです。
金利の高さはこぶたの50M走のタイムに似ています。数値化でき、順位もつけることができます。しかし、外国為替はそれだけでは1位を読むことはできません


世界情勢や“実益”の見方などでも変わってくるからです。
こぶたのレースと外国為替が似ていると言いましたが、1つだけ決定的に違う点があります。それは、予想するタイミングです。
こぶたのレースはスタートの前に1位を予想する必要があります。


一方、外国為替はレース中盤で予想をします。


それまでのこぶたの様子を見て順位を判断するのです。
勢いよくスタートして中盤まで走り続けているこぶたがいたら、「ゴールまでこのままいくだろう」と予想する人も多くなります。50M走のタイムが速かったとしても、スタートから全然動かなければ、「このこぶたが上位でゴールするのは難しいだろう」と予想するでしょう。
そして、予想した結果から、どの通貨とどの通貨を交換するかを決めるのです。
そのため、外国為替では、現在の社会情勢(こぶたでいうところの性格、天気、相棒との相性)に加えて過去のデータ(こぶたのそれまでの走り)はとても重要になります。


しかし、それらを駆使したとしても100%儲けを出すことはできないでしょう。




まとめ

・外国為替レートを動かしているのは“実需”と“実益”
・“実益”は金利差や外国為替レート差を利用して利益を狙う
・通貨の価値は、“実益”の将来の予想に大きく影響を受ける


今回の内容は少し難しく感じたかもしれません。
外国為替で利益を追求する(“実益”)人たちを『投機筋』と呼びますが、この人たちは毎日多くのアンテナを張り、あらゆる情報を得て将来の予測を立てています。これは一朝一夕でできることではないうえに、それでも損をすることも多分にあります。


投機に知識や情報収集力は必要不可欠であり、簡単に儲かるものではないということを覚えておいてください。

この過去のデータから読み取れることは何があるでしょうか?
なぜここで円高となったのか、この時のどんなことがレートに大きな影響を与えたのか、このように分析する力も必要です。


次回は、日々変わり続ける外国為替レートが私たちの生活にどのような影響を与えているのかについて学んでいきましょう。